神話の世界
神話の世界
雨が川へ帰る場所がある。
渡り鳥が南を目指す場所がある。
風が通り抜けていく場所がある。
太古の昔から変わらない場所が
ここにはある。
山々の先へ、飛び去っていく鳥たち。
何を思っているのか。
”The Angel Rocks ”
天使の岩
言葉が、風の中に去っていく。
体が、雨の中に消えていく。
人が、人間にかえっていく。
太古の昔、この岩陰に天使を見たのだろうか。
最後の未踏の地に降り立ってから、約14日。
星野道夫の足跡を辿って
やって来てしまったアラスカ。
本の中にあった世界が
足音を立てて飛び込んでくる。
そんな感覚に毎日出逢います。
音もなく降ってきたオーロラ。平原の向こうに迫る氷河。
ワタリガラスの太鼓。
アラスカネイティブの先生の、あの低い歌声。
これが、私が土足で立ち入ることを許さない
”神話の世界”なんだと思います。
でもやっぱり
白夜に浮かぶユーコン川を見たとき
本当にここが、好きになる予感がしました。