ビスケットを何度で焼くか。
ビスケットの焼き加減とか
映画の公開日とか
神様は誰かとか。
小さい木箱の中で
私たちは今日も議論する。
そこから
思わず逃げ出して
雪に埋もれた森を駆け抜ける。
その先に
今日も明日も変わらずに
ただ
山々がある。
きっと
ビスケットの底がちょっぴり焦げたって
映画の時間が遅れたって
神様が一人じゃなくたって
あの山々は
きっと
今日も明日もそこにある。
そんな気持ちになった時
どうすればいいのか
わからなくなって
私はただ
ビスケット生地に
お砂糖を一さじ
加えたりする。
まだまだ、
私は人間ってことでしょう。
よかった。
これを読んでくださった
世界のどこかの皆様。
自分の居場所に少し疲れたら
世界の向こうっ側に
思いを馳せてくださいな。
あなたが
電車に揺られて外を見る時も
台所から
流れる雲を見る時も
ビスケットの焼き加減を見る時も
世界のどこか上の方に
今日も
あの山々は
そこにあるのです。
アラスカと
星野道夫が教えてくれた
もう一つの時間の流れ。
どうぞ一緒に
感じてみようじゃありませんか。