一度は

人類の歴史から

姿を消したように見えた

アラスカという大地の人々。

 

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その血を継く子どもたちが

アザラシのブーツと

カリブーのパーカー

太鼓や扇を持って駆け回る。

 

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University of Alaska



 

その

響き渡る歌声に

遠い海と

遥かなツンドラの大地が見える。

 

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university of Alaska



 

その力強い舞に

偉大な一つの民族の

何千という歴史が流れる。

 

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いつか

この踊りを思い出して

この意味のない広がりを思い出して

この大地の空の深さを思い出して

この人々の瞳の深さを思い出して

このアラスカの風を思い出して

 

きっと泣いてしまう。

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どこかの映画のタイトルのような言葉が

無性に心の溢れた。

 

また

私は

アラスカに戻ってくるんだろう。

 

そう

根拠もなく思った。

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刺繍

ほんの少し贅沢して

むさくるしくて

ちっちゃな

洗いこまれた喫茶店へ。

 

アラスカで惚れた

刺繍しながら

入っては去っていく人々の

1日のドラマに耳をすませる。

 

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『短い人生の中で

心惹かれることには、そう出逢わない。

もし見つけたら

大切に、大切に....。』

 

多くの人々をこの地に惹きつけた

星野道夫の言葉を

ありがたくお借りして

 

中間試験そっちのけの

幸せな夜中の刺繍。

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しっくりくる色あわせが大変。



嫌われること。

味方になること。

 

大荒野の中で

ちっちゃなしがらみを

うじうじ気にしてる自分ですが。

 

刺繍は、

私の短く変哲もない人生の中で

瞑想のような役目を

果たしてくれるのです。

 

そんなものに、

きっと数多く出逢えることは

ないのでしょうから。

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Janet というおばあちゃんのお店で。

 

今日も自分に甘く

生きていた私であります。

 

まあ、いいか。

なんて。

 

聴こえてくるもの

今日

アラスカの空が晴れわたった午後。

 

アラスカネイティブの女の子が

教室で

どこか遠くを見つめて語った。

 

本の中に溢れた

彼らの祖先の知恵と

命の通った言葉に

何かたまらないものを感じたらしい。

 

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椅子の上に

うずくまるようにして座りながら

ぽつぽつと語る

黒髪の彼女。

 

先住民として

現代を生きること。

 

 

文化の重みと

責任の苦しみ。

 

その誇りと

その苦み。

 

その美しさと

その厳しさ。

 

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私が

ただの教科書だと思って

手もつけてなかった本なのに。

 

彼女はそこからどんな風を感じたのだろう。

誰の囁きを聴いたのだろう。

何を見たのだろう。

 

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ああ、

もっと真剣に

学ぼうと、思った。

 

 

 

 

 

この土地の人たち

この土地の人たちは

なんだか不思議。

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凍った大河。

雪が降ると

「雪が降るほどあったかい!」

とジャケットを脱ぐ。

 

−10℃をきると

「今日あっついなあ」

とマフラーをとる。

 

ー40℃に迫ると

「いっちょ参りますか!」

と水着になって外に飛び出す。

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何かが滲む

 

太陽の昇らない冬を

こっとりあったかいココアと

とっておきのブーツで乗り越えるのに

 

太陽の沈まない夏には

時なんてないように

ひたすら白夜の中を

走り回る。

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寒い日の肉じゃがは最高

地球のあちこちで

今日もいろんな人々のドラマが

繰り広げられているけど

 

やっぱり、

アラスカの人々はなんだか

人間くさい。

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地球

 

だから、惚れてしまう。

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今日は出るだろうか

 

北から吹く風

今日

フェアバンクスに

風が吹きました。

 

北極の香りがする

冷たいけれど

なんだか懐かしい風が。

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風の通り道

アラスカの大地は

人間を拒むことも

人間を迎えることもありません。

 

そんなものより

どこか遠くの

遥か彼方の

何か偉大なものを見つめる山々の間を

 

今日

一本の風が

通り抜けていきました。

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どうしてか懐かしく

突き抜けた空に

陽の光が戻りつつあります。

 

春の足音が響いてくるのも

もうすぐなのでしょうか。

大河

「だからなあ俺はいうぜ。
人類は月に降り立ってねえんだよ!!!」


この人、やばい。

 

マリファナの緑がかった煙に包まれながら、

青い目をまん丸に開いて叫ぶ彼を見て、

真剣にそう思った。

 

 

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朝焼けを飛び越える。

 

五人乗りのプロペラ機で、

今まで人類が触れたことないんじゃないかと思うような、

何千もの山と大河を越え、

やってきたユーコン川のほとりの村、

リュービー。

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五人乗りのプロペラ機。前のおじいさんは余裕で新聞を読む。私はシートベルトが見つからなくて恐怖。


滑走路というより、

雪の斜面という言葉が正しい”空港”?に降り立った瞬間、

どれほど現代文明から時を遡ったのかと

深々唸ってしまった。
(私を下ろした瞬間飛び立つ小型機。

来る前のセキュリティはなんだったのか。)

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人類未踏の大河


水道がない暮らしというのはここまで大変なのか。


バケツのトイレ。


雪水を溶かしたお皿洗い。


−20度の外気の中で洗顔と歯磨き。


モップを洗った水で

ハンバーグ作りのために手を洗った時、

全ての戸惑いと恐れが消え去った。

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今と昔が混じる場所。

 

2週間、

ネイティブアメリカンのおばあさんと、

謎のおじいさん夫婦の仕事を手伝う代わりに、

無償で与えられた衣食住。

日が沈まない夏に狩った動物たちの肉とサーモン、

缶詰にした野菜と、

襲いかかってくる鶏の卵で生き延びる

”アラスカネイティブ”の暮らし。

 

何をとっても

東京という世界有数の大都市で育った私には

衝撃が大きすぎる。

 

のだけど、

この隣でプカプカ大麻を吸う(アラスカでは合法)

おじいさんほど衝撃的な生物に

出逢ったことがない。

 

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今まで、

早稲田大学という学びの場を通して、

たくましく生きる政治家や開発者の方々に、

ありがたくもたくさん出逢ってきた。

想像を超える挑戦をしてゆくかっこいい先輩や

学友にも多く巡り会えた。


でも、

この、

白髪と金髪の入り混じった、

シワの深い細い体の、

大きなブルーの瞳を金貨みたいに見開くおじいさん。


「No one would believe this...but I know what they don't know...」


と囁いて(これって全世界男性の共通語なのだろうか)、

アイスマンに出会った話。
巨人の墓。

政府が操る温暖化。

政治家の嘘。

ピラミッドとエイリアンの繋がり。

ダーウィンの進化論の赤っ恥。

それらを延々と私に語った挙句、

最後に月上陸は嘘だった!と叫ぶ。


その長い3時間半に及ぶ演説の中で、

私が発したのは”cool"
の一言だけ!!

彼に言わせてみれば


「I will tell you this...the truth is that the truth is stranger than the fiction
真実は逸話より奇妙なのだ」


らしい。

それをマリファナの煙の中で言われたら、

もう唸るしかできない。
(煙草は体に悪いと気づいて、

マリファナにシフトしたらしい。

なぜやめるという選択はなかったのか)


いつもの私なら、


この人、マジでやばいかもしれない。

って思って、逃げ出す計画を立てるかも。


でも、ユーコン川を渡り、

文明から隔絶された場所で

マリファナの香りを吸ったからなのか。


今、何か不思議な感覚でいっぱいなのだ。

 

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本当にやばいのか。
やばいのは彼なのか。
本当にまともじゃないのは、

私の方なのではないか。

 

教科書を信じるというか疑うこともなく、
えらい人々の話にまっすぐ耳を傾け、
人間はアウストラルピテクスから進化したのだと
そう思っている私の方が、

何かを忘れているのではないか。

そう思っているのだ。

 

彼はこうも言う。


「ネイティブの言い伝えを知ってるか。
白いバッファローワタリガラスが現れた時、

それは新しい世の始まりなんだ。
俺はこの間、そいつらを見たんだ...。
どういう意味かわかるか?
俺たちは今、とても特別な時代を生きてるんだ。
俺が生まれた時の30億っていう人口の2倍以上の人間が、

今地球にいるのはなんでだ?
わかるか?
みんな、戻ってきたんだ。
この特別な時代を見るために、戻ってきたんだ。
俺たちが忘れてしまった時間から、

戻ってきたんだよ...。」

 

彼の何か遠くを見つめる瞳を見た時に、

こう思ったのだ。


もしそんな特別な時代を

私たちが生きているのだとしたら。


なぜ
他の80億以上の人間ではなく、今、
このマリファナに包まれながら

未来を語る彼に出逢ったのか。


なぜ

1週間前まで聞いたこともなかった、

忘れ去られたような村の、

古ぼけたあったかい焚き火の前にいるのか。


なぜ

向こうの川ではなく、

この川の流れを泳いでいるのか。

 

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なぜか

全ての出来事に、

彼とその妻とサケのハンバーグを食べたという事実に、
ローズの香水ではなく

マリファナの香りに染まっているという事実に、
何か

途方も無いほど大きな意味がある気がしてならないのだ。

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ありきたりの言葉で言えば
当たり前だと思っていたことが、

根本から崩れ去っていく感覚。

どんな

世界の先端を歩く人の話を聞いても感じなかった、

人間の本質的な部分が変わってゆく感覚。


人生という大河に、

一つの不思議な流れが加わった感覚なのだ。

 

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世界にはいろんな人がいて
私の知らないところで、

今日も明日も生きてゆく。


不思議でたまらない感覚に、
マリファナのほろ苦い香りと、

焚き火の柔らかい温もりに包まれながら浸っている。

 

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カワウソの皮を剥いでゆく

とりあえず、

洗っていない手で作った料理を食べて、

人はどれくらいやっていけるのか。


−20度の中で洗顔すると、

女子大生の頰はどれくらい強くなるのか。


そういう実験も込めて、

あと12日

このリュービーで生きていきたい。

 

P:S あ、wifiは通っていました!

wifiは脳を破壊するって信じてるみたいだけど。

一本の川。

今まで生きてきた20年間

見たことも

会ったこともない人々と

踊り

笑い

そして手を繋いで迎えた

新しい年。

 

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つくづく

自分が歩いてきた道の展開に

不思議な縁を感じるばかり。

 

アラスカという

世界の果ての澄んだ夜空に

花火が咲いては散って行くのを見た時

人の小ささを知りました。

 

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氷点下の花はよく燃える

アラスカという

大地の片隅で

花火を無心に見つめ

抱き合う人々を見た時

その命の儚さを知りました。

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そしてアラスカという

厳しい大自然の中で

そして生きてゆく人々を見て

その温かさを知りました。

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きっと今日見た

北の空の花火の色を

5年後の私は忘れるでしょう。

 

きっと今日踊った

あのダンスのメロディを

15年後の私は忘れるでしょう。

 

きっと今日吹いた

あの冷たく凛々しい

北風の心地よさを

30年後の私は忘れるでしょう。

 

きっと今日食べた

あのかぼちゃパイの甘さを

50年後の私は忘れるでしょう。

 

きっと今日出逢った

あの無数の美しい笑顔を

70年後の私は忘れるでしょう。

 

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でも

今日感じた

人という存在に宿る

温かいぬくもりは

死ぬまで忘れない。

 

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何かを成し遂げよう

人より一歩でも先に進んでいよう。

 

あの子よりも

そうあの子よりも

もっと偉大な人生を送ろう。

 

そんなことを

ずっと考えていた2018年でした。

 

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大学で

数え切れないほどの

信じられない人々に出逢い

 

彼らの中で

自分は何なのか

ちっぽけさに悩んだ2018年でした。

 

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そして

アラスカという

最後の未踏の地で

 

その私の思考や

肩書きや

足音の

はるか遠くを駆け抜ける

自然と命の大きさに

 

自分の人生の短さを

人間という存在のちっぽけさを

教えられた2018年でした。

 

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自分が語り

意味づけようとしてきた

政治の行方

恋の行方

日本の行方

人生の行方。

 

そんなもの

これっぽちも気にせずに

ただ流れてゆく

ただ森の中に静かに消えてゆく

一本の川の美しさに

全てを忘れた2018年でした。

 

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彼が何をしようと

彼女が何を考えようと。

 

どこでテロが起きようと

どこであの子が生まれようと

どこであの子が死のうと。

 

ただ風は

その広がりの先へ

通り抜くてゆくことを

知った2018年でした。

 

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何かを成し遂げるようとすること。

 

人からの愛を求めること。

 

自分の明日に恋をしようとすること。

 

それは

私が人間なのだという証であるのだと

その

川の静けさに

森の深さに

山々の大きさに

オーロラの儚さに

教えられた2018年でした。

 

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アラスカという地で

多くの生き方

多くの川の流れに出逢い

あるがままに生きること

その意味の大きさを学んだ2018年でした。

 

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このあるがままが

どんな意味かは

まだわかりません。

 

2019年

どんな年にしたいかは

まだわかりません。

 

そもそも

一言でバシッと表すの、

上手くないから。

 

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だからまだわからないけれど。

 

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でも

あの

意味のない広がりの森の中に

音もなく消えていった

あの一本の川の流れを見て

どうしようもなく

胸が熱くなるような

そんな年にしたい。

 

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そんな意味のわからないことを

世界の果ての

教会で

手を繋いで

アラスカの人々とカウントダウンしながら

思いました。

 

全てのご縁と

全てのご恩にありったけの感謝。

 

2018年にありがとう。

2019年に初めまして!