青いりんごのような。
青臭く
恥ずかしいような
そんなこと。
でも、
たった一つ、
これがなかったら
自分じゃなくなるって思うものを
考えた。
しばらく
じっと考えていたら、
ああ
そうかと
ふってきたもの。
”言葉”だと思う。
自分は
多分
言葉が消えたら
自分じゃなくなる。
そんなことを
アラスカは私に考えさせてくる。
言葉が好きだ。
頭の中で
消えては浮かんで
降っては沈んでゆく
言葉が好きだ。
誰かさんの口から
ふと
飛び出してくる
やわい響のような。
その人の向こう側に
川の流れが
見えてくる
深い静けさのような。
音もなく通り過ぎた
風みたいな
見えない凛々しさのような。
言葉が好きだ。
こう考えてみる。
涙が止まらない時。
唇を噛み締めても
どうにもならない時。
どうしてだろう
どうしてだろう
どうして自分だったんだろう。
そう
考えても考えても
答えが走り去ってしまう時。
ただ
空を見つめてみる。
何も考えないで
空の向こう側を見つめてみる。
そうしたら、
言葉が降ってくる。
大きくて
静かに流れ去る大河に
雨つぶが落ちるように。
言葉が降ってくる。
そして
言葉が物語になる時。
多分、
何かを乗り越えている。
いや多分、
連なる山を越えるために
その一歩を踏み出すために
靴紐を
ぎゅっと結ぶ準備ができている。
言葉とは
私にとって
そういうもの。
この何もないような
広大な荒野の上で
お前は何をもってお前と言えるのか。
そう何かに問われた気がした。
アラスカは
人間をそんな気持ちにさせる
そんな場所なのです。
とかなんか言って
一番私を造ってるのは
食欲だったりしてね。